子どもの健やかな成長を見守り、安全に過ごせる環境を作る保育士と幼稚園教諭の仕事。

同じように子どもと関わる2つの職業ですが、保育士が働く保育園は厚生労働省の管轄幼稚園教諭が働く幼稚園は文部科学省の管轄ということからも分かるように、必要な資格や仕事内容は違います。

では、働く上で気になる収入面に違いはあるのでしょうか?似ているようで異なる保育士と幼稚園教諭の仕事の違い、そして収入面の比較をご紹介します。

保育士の資格と仕事内容

保育士として働くために必要な資格は保育士資格です。

資格の取得方法としては、

  • 厚生労働大臣が指定する保育士養成施設を卒業する
  • 保育士試験に合格して資格を取得する

の2つです。

主な仕事内容は0歳児から5歳児までの子どもを預かり、生活全般のお世話や基本的生活習慣の自立に向けた援助、発達に合った遊びを提供することや社会性を身に着けられるような手助けを行います。

保育所には国が定めた認可基準をクリアした認可保育所と、基準をクリアしていない認可外保育施設の2種類があり、そのどちらにも子どもの人数に合わせた保育士が必要です。

⇒認可保育園の特徴は?働く保育士のメリット・デメリットと転職ポイント

認可保育所では、保護者の勤務時間に合わせた保育時間が設定されていますが、延長保育を行っている保育所も多く、朝の7時から夜の7時まで、もしくは夜の8時まで開園している保育所もあります。

その時間内で保育士はシフト勤務をこなしながら働きますので、勤務時間が一定ではないことも特徴です。

子どもと関わり成長を手助けするプロとして、保育計画を立てたり保護者支援を行うなど保育士の仕事内容は多岐に渡ります。

幼稚園教諭免許と仕事内容

幼稚園教諭として働くために必要な資格は、幼稚園教諭免許です。

幼稚園教諭免許には

  • 幼稚園教諭一種免許
  • 幼稚園教諭二種免許

の2種類があります。

幼稚園教諭一種免許

幼稚園教諭の養成課程がある4年制大学を卒業することで取得が可能。園長職に就くことができる。

幼稚園教諭二種免許

幼稚園教諭の養成課程がある短期大学や専門学校を卒業することで取得が可能。就ける役職は主任まで(園長職には就けない)

これらの違いがあります。

ただ、一種免許取得者と二種免許取得者に仕事内容の違いはないので、園長職は狙わないとい人は二種免許を取得することが多いようです。

主な仕事内容は、3歳児から5歳児の未就園児を預かり、発達に合った遊びを提供しながら遊びの中で学べる環境を整えたり、小学校入学に向けて文字の読み書きや簡単な算数を教えることもあります。

園よって教育方針が異なるため、教育方針に沿ったカリキュラムを作成することも幼稚園教諭の大切な仕事です。また、保育園と比べて行事に力を入れている場合も多く、行事の計画実行も大きな仕事の1つです。

子どもの利用時間は、教育標準時間(4時間)を元に幼稚園が定め、朝の9時から午後2時前後に定めている園が多く見られます。

ただ勤務時間としては、園児が降園後に職員会議や活動準備、行事準備などを行い実働8時間です。

バス通園を行っている園では、バスへの乗車のために持ち回りで早く勤務をすることもありますが、基本的には勤務時間が一定であることも特徴です。

保育士と幼稚園教諭、初任給の平均は?

仕事量に比べて収入が低いと言われることの多い保育士。給与水準の低さが保育士不足の一因であるとも言われています。

では仕事内容として似ている部分も多い、幼稚園教諭と保育士に収入面の違いはあるのでしょうか?

資格を取得してから働き、初めて得る初任給にポイントを当てて見ていきましょう。

厚生労働省による平成29年賃金構造基本統計調査の初任給調べによると、幼稚園教諭に該当する「教育・学習支援業、短期大学卒業」の初任給は月収17万9200円

保育士に該当する「医療・福祉、短期大学卒業」の初任給は月収18万3000円でした。

参照:http://www.mhlw.go.jp/

求人を調べていると、幼稚園教諭の平均初任給はこの統計に近く月収17万円前後。一方保育士の初任給としてはこの統計よりも低い場合が多く、月収16万円から17万円の求人が多く見られました。

同じように子どもとの関りを仕事とする幼稚園教諭と保育士。資格の違いや具体的な仕事内容の違いはあるものの、初任給にはほとんど違いがないようです。

保育士の平均年収は?

では、保育士全体の平均年収としてはどうでしょうか?

厚生労働省による平成28年賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均年齢は36歳。勤続年数は7.7年で平均月収は22万3300円でした。

この月収に平均賞与である58万8200円を足した額が平均年収で、326万7800円となります。

この平均年収を見る時に注意したい点が、公立保育園で働く保育士、私立保育園で働く保育士の両方が含まれているということです。

公立保育園で働く保育士は、地方公務員ですので私立保育園で働く保育士よりも収入面が充実しています。また、昇給制度が確立されているため、離職率が低いことも特徴です。

一方私立保育園で働く保育士は、初任給では公立保育園で働く保育士とほとんど差はありませんが昇給率が低いため、勤続年数と共に給与に差が出てきてしまいます。

それだけが理由ではありませんが、勤続年数が長い保育士が少ないという現状もあり、更に平均年収に差が出るという結果に繋がってしまうのです。

保育士の給料事情についてはこちらで詳しく解説しております。

保育士の給料は低賃金?それぞれの保育園の平均給料と政府の対策

保育士より高い?幼稚園教諭の平均年収

初任給ではほとんど差がなかった幼稚園教諭と保育士の収入。幼稚園教諭全体の年収としてはどうでしょうか

厚生労働省の平成28年賃金構造基本統計調査によると、幼稚園教諭の平均年齢は33歳。勤続年数は7.7年で平均月収は22万9000円でした。

この月収に平均賞与である64万5300円を足した額が平均年収で、339万3300円となります。

幼稚園にも公立と私立があり、公立幼稚園で働く幼稚園教諭は地方公務員です。そのため公立幼稚園で働く幼稚園教諭の方が私立幼稚園で働く幼稚園教諭よりも給与水準は高くなります。

平均年収は、公立幼稚園で働く幼稚園教諭と私立幼稚園で働く幼稚園教諭の両方を合わせた平均ですので、私立幼稚園で働く幼稚園教諭のみの平均年収はこの額よりも低いと考えられるでしょう。

ただ、保育士も幼稚園教諭も公立・私立の両方が合わさった平均年収ですので、比較をすることは可能です。

  保育士 幼稚園教諭
平均年齢 36歳 33歳
勤続年数 7.7年 7.7年
平均月収 22万3300円 22万9000円
平均賞与 58万8200円 64万5300円
平均年収 326万7800円 339万3300円

幼稚園教諭と保育士の平均年収を比べた結果、平均年齢は3歳ほど低く、年収は約12万5000円高いということがわかります。月収にすると月に1万円程の差です。

また幼稚園では夏休みや冬休み、春休みなどの長期休みがあり、その間は毎日出勤するわけではありません。

保育園は年末年始以外の長期休みはなく夏休みなども順番にとりますので、勤務日数を考えると幼稚園教諭の方が保育士よりも高い給与であると言えるでしょう。

保育士と幼稚園教諭、選ぶならどっち?

勤務日数等を考慮すると、保育士よりも待遇が良い幼稚園教諭。では、保育士と幼稚園教諭の仕事を選ぶ上ではどのようなポイントに注目すれば良いのでしょうか?

給与面ももちろん大切ですが、それ以上に自分がどんな環境の中で、子どもとどの様な関わりをしたいのかという点に重点を置いてみましょう。

まずは、子どもの年齢です。

0,1,2歳児の小さな子ども達と一緒に過ごしたい、お世話をしたいという方は迷わず保育園をおすすめします。

中には、0,1,2歳児のみを対象にした小規模保育園もありますので検討しても良いでしょう。

3歳以上の子どもと関わりたい、教育面でも力を発揮したいという方には幼稚園がおすすめです。

自分がどのようなカリキュラムを大切にしながら子どもと関わりたいかということを考慮しながら職場選びをすると良いでしょう。

どの年齢の子どもとも関わりたい、もしくは子どもと関わることができる仕事であれば年齢は気にしないという方は、保育園・幼稚園のどちらにも選択肢があります。

ただ、共働き家庭が増えている中では保育園の需要が高まり、幼稚園よりも保育園のほうが求人数が多いことは確かです。

幼稚園教諭として働く人が、一定の要件を満たすことで保育士資格を取得することができる特例制度が平成31年まで設けられていますので、特例制度を使って保育士資格を取得し、幼稚園と保育園という垣根を超えた職場探しをするという方法もあります。

まとめ

似ているようで異なる部分も多い幼稚園教諭と保育士の仕事。給与面では大きな違いはありませんが、勤務日数などを考慮すると幼稚園教諭の方が待遇は良いようです。

ただ、子どもに愛情を持って接し成長を見守るという点では、幼稚園教諭と保育士は同じです。

保育園の需要が高まっている中では、今後も保育園の求人が増えると予測されますので、幼稚園教諭と保育士資格の両方を取得し、職場選びの幅を広げるという選択肢もあるでしょう。