新しい認可保育所の形である小規模認可保育所。

保育所不足による待機児童問題への対策として、2015年から始まった保育事業です。

利用できる子どもの年齢や人数、保育士人数の基準も一般の認可保育所とは違います。

どんな部分が違うのか、そして働く保育士の仕事内容にも違いがあるのかということは気になる点ではないでしょうか?

そして、認可保育所と基準が違うからこそ見えてくる課題もあります。

課題克服に向けての最新ニュースも含めて、この記事では小規模認可保育所について紹介します。

小規模認可保育所での勤務を考えた時には参考にしてみてくださいね。

小規模認可保育所とは?

小規模認可保育所は、待機児童問題解消などの目的から、厚生労働省が定めた「こども・子育て支援新制度」により誕生した新しい認可保育所です。

国が定める基準に従って市町村長が認可を行います。

利用できる子どもの人数は6名から19名と小規模で、一般の認可保育所とは違う認可基準を設けているという特徴があります。

待機児童問題の中で高まる需要

小規模認可保育所が誕生した1番の目的は、保育所不足による待機児童問題解消のためです。その他にも、人口減少地域の保育基盤維持などが挙げられています。

小規模認可保育所は制度は始まった2015年4月の時点では1655園。その数は1年経った2016年度では2429園と800園近くも増えています。

このことからも分かるように、待機児童問題が解消されていない現在、小規模認可保育所の需要は年々高まってきています。

利用者が増えていることを考えると、小規模保育所誕生は時代のニーズに合っていると言えるでしょう。

設備や人数の認可基準は?

小規模保育所は3つ種類に分けられます。

それぞれの種類によって違う認可基準を説明します。

A型(認可保育所の分園型)

子どもの利用定員は6~19名

職員の配置基準は一般の認可保育所の基準プラス1名です。

0歳児は子ども3人につき保育士1名、1,2歳児は子ども6人につき保育士1人。これにプラスして保育士1人が必要となります。

人数に数えられる職員は全て保育資格を保有している必要があります。

施設面積は、0歳児1人につき3.3平方メートル。1,2歳児は1人につき1.98平方メートルです。

B型(中間型)

A型とC型の中間です。子どもの定員はA型と同じく6名~19名

職員配置も、一般の認可保育所の基準プラス1名、施設面積もA型と同じです。

しかし、働く職員の資格基準が違います。

B型の場合は、働く職員の2分の1が保育士資格を持っていれば運営が可能なのです。保育士の有資格者以外には研修の実施があります。

C型(家庭的保育者型)

子どもの利用定員6名~0名

施設面積は、0歳児~2歳児の全ての子ども1人につき3.3平方メートル必要です。

職員の資格基準は家庭的保育者であることとされています。家庭的保育者とは市町村の研修を受けた保育士、保育士と同等以上の知識を有すると市町村長に認められた人のことです。

職員の配置基準は0歳児~2歳児全てにおいて子ども3人につき職員1人です。

補助者を置く場合は、0~2歳児5人につき家庭的保育者1人と補助者1人での保育が可能です。

認可保育所よりも職員の人数は多いですが、保育士の有資格者人数の基準は緩く設定されています。また、家庭的保育者という新しい立場の職員を認めることで、保育士不足解消に向けての動きも見られます。

利用できる子どもの年齢は?

0歳児~2歳児までの子どもです。

なぜその年齢の子どもが対象になったかと言うと、0,1,2歳児の待機児童は他の年齢よりも更に多いからです

認可保育所の中には0歳児の受け入れがなく、1歳児にならないと利用できない所もあります。また、0,1,2歳児の定員は一般的な認可保育所では3歳以上児よりも少なく、待機児童問題がより深刻なのです。

3歳児以上も受け入れ可能に!?最新ニュースを紹介

0,1,2歳児の受け入れ先として、需要の高まっている小規模認可保育所。しかし、この年齢基準が新たな課題をうみだしているという側面もあります。

3歳の壁」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

小規模認可保育所を2歳児で卒業し、その後3歳児で他の認可保育所に入園できない状態を呼びます。

小規模認可保育所は2歳児までの利用ですので、その後の進路としてまた新たな保育所を探さなければなりません。

認可保育所は、両親の勤務状況や経済状況などを点数化して点数の高い家庭から順に利用ができます

小規模認可保育所を利用していることは、「保育施設をすでに利用している状態」ですので、点数の加算に繋がります。

しかし、同じように小規模認可保育所を利用している子どもが沢山いたらどうでしょうか?その中で、更に認可保育所に入れる子どもと入れない子どもが出てきてしまうのです。

実際に小規模認可保育所に通っていたにも関わらず、3歳児で認可保育所に入ることができず、認可外保育所を利用することになった子どももいます。

その状態を改善するための対策として、政府は2016年12月に原則2歳までと制限される小規模認可保育所の対象年齢を、特区では5歳までと緩和する方針を決めました。

待機児童問題が深刻な東京都での緩和が求められ、法改正で緩和が認められれば、東京都での実施が可能となります。

2016年に方針が決められましたが、2017年現在では制限の緩和には至っていません。しかし、「3歳の壁」という新たな課題克服に向けての道筋は出来てきているようです。

小規模認可保育所の仕事内容

小規模認可保育所では、認可保育所よりも多い職員配置となっています。また、子どもの利用人数も少ないので、アットホームな雰囲気の中で子ども1人ひとりとじっくりと向き合い、丁寧に関わることが主な仕事です。

園庭がない所が多いので、午前中は近隣の公園などでゆっくりと散歩をしたり、子どもと一緒に遊びながら見守ります。0,1,2歳児は発達の差が大きく、歩行が安定しないうちは特に怪我が多いので、怪我への配慮が大切です。

昼食は、認可保育所と同じように栄養士や調理師が作ったものを提供します。0歳児は離乳食の進み方にも個人差が大きいので、保護者と保育士、栄養士が相談しながら進める必要があります。

午睡での睡眠チェックは、SIDSを防ぐために0,1,2歳児では必須です。午睡中には睡眠チェックをしながら、認可保育所と同じように連絡帳の記入や書類作成、活動準備をします。

おやつも園で手作りのものを提供する場合が多いです。0,1,2歳児でも食育活動は十分にできますので、時には栄養士と相談をしながら食育も行います。

降園時には、まだ自分で保育所での様子を伝えることができない子ども達ばかりなので、丁寧にその日の様子を保護者に伝えてあげましょう。

初めての子育てで、子どもとの関りについて悩んでいる保護者も多いので、プロとしてアドバイスをすることも大事な仕事です。

日々の保育以外にも行事を取り入れている小規模認可保育所もあります。

2歳児までですので、子ども達と作り上げるというよりは保育士が主導となり、子どもと保護者が一緒に楽しめる行事作りを心掛けると良いでしょう。

小規模認可保育所で働くメリット・デメリット

小規模認可保育所について紹介してきました。では、実際に小規模認可保育所で働いている保育士は、小規模認可保育所のどんな部分をメリットと感じどんな部分をデメリットに感じているのでしょうか。

他の認可保育所との比較を通して見ていきましょう。

小規模認可保育所で働くメリット

少人数の子ども達とゆっくりと関われることが1番のメリットです。1番多くても利用人数は19人ですので、子どもの顔と名前はもちろん、保護者の顔まで全て覚えることができます。

職員の数も認可保育所よりも多く配置されていますので、子どもと丁寧にじっくりと関わりたい保育士にとっては魅力的な職場ですね。

5歳児までが利用する保育所に比べて、行事の規模も大きくはないので、行事に向けて子ども達にしっかりと教えなくてはというプレッシャーも少ないようです。

各年齢によって担任は決まっていますが、全ての保育士が全てのクラスを把握し、保育士全体で子ども達を見ているという感覚を持つことができます。

保育士間の連携がとりやすいこともメリットですね。

小規模認可保育所で働くデメリット

2歳児までの利用ですので、子ども達と共に行事を作り上げたい、達成感を感じたいという方には不向きであるかもしれません。日常の保育も行事もゆっくりと楽しく行う場合が多いのです。

職員人数は認可保育所よりも多いので、余裕を持った子どもとの関りが可能です。ただ、保育士資格を持っていない職員の勤務も可能なので、保育士資格を持っている職員の負担が大きくなるというデメリットがあります。

保育士資格を持つ職員は、周りの職員に保育士としての知識を伝えながら働く必要があるからです。

また、0,1,2歳児の保育は離乳食の進め方からトイレットトレーニングまで、保護者にアドバイスができるレベルまでしっかりと理解しておく必要があります。

育児法もその時々によって変わりますので、常に新しい情報を得る努力をしなくてはなりません。

しかしその分、0,1,2歳児の乳児保育のプロになることができますよ。

小規模認可保育所の平均給与

小規模認可保育所は国からの補助金が出ますので、従来までの認可外保育所に比べると高く安定した給与が見込めます

具体的には、東京都の小規模認可保育所の正社員の場合は、月収19万円から22万円の求人が多く見つかりました。

中には月収30万円を超える求人も…。

地域によっても差がありますが、小規模認可保育所の需要が高まる中で、保育士としては高い給与も期待できそうです。

パート勤務の場合は、時給950円から1,200円のところが多く、認可保育所と同等程度のところが多いようです。

実際に保育士専門の転職サイトならいろいろな情報を教えて貰えるので、気になる方は相談してみるのもありかもしれません。

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まとめ

待機児童が深刻な問題である現代において、共働き家庭の希望の星となる小規模認可保育所。保育士の働き方としても、子どもとよりじっくりと丁寧に関わることができるという大きなメリットがあります。

ただ、3歳の壁という課題が存在することも事実です。その課題をどう克服していくか、という動きにも注目したいですね。

保育士として勤務場所を探す際には、今後も需要の高まりが期待できる小規模認可保育所を選択肢の1つに考えてみてはいかがでしょうか?